【許さなくても、親子は進める|キシミール体験ログ:DAY 03】

当店は『横浜駅』にて
創業40年の小さな個人経営店
ファッションヘルス《キシミール》です🧺
この記事は、特殊な家庭環境のようでいて、実は近い感覚を持った方もいるであろう
「とある境涯」を写した記録ログである。
実際のお店への来店や経験とはまた異なるが、こういう人生があるということの擬似体験でもある。
そう、これは——
名前を持たない感覚を抱えたまま過ごした、人生の中で訪れる一日の出来事だ。
この記事には当店のオリジナル魔除けキャラクター「あぱらぎ」が“見届ける者“として登場します🐶
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▫️0:置かれた予定
リビングのテーブルの上に、書類が揃えられている。
数日後、司法書士に会う予定。
父から「遺言書を作りたい」と言われたのは、つい先日のことだった。
少し大げさにも感じた。
それでも、話を受け止める準備は自然とできた。
父は淡々としている。
病気の話も、感情の起伏も、そこには含まれていないように見えた。
書類に手を伸ばし、ふと止まる。
今すぐ確認する気にはなれず、だが時間は流れていく。
それでも——
胸の内に、モヤモヤとした感覚がこびり付いている。
ただなんとなく、今日までの日々が、いつもより深くのし掛かる。
その重さが、何から来ているのか。
振り返らずにはいられなかった。
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あぱらぎ🔭:
「……節目の日ってある。
今日は、普通の1日でもあるし、彼にとっては“キッカケ“の芽生える瞬間でもあるみたいだね。」
ビジネスコラム | 創業40年目|『横浜駅』の裏事情・情報ブログ|個人店【キシミール】
▫️1-1:選んできた距離
俺は、三十代半ばになる。
今は父と暮らすことにも、独り身でいることにも、もう慣れた。
恋愛をしてこなかったわけじゃない。
誰かと向き合い、言葉を交わし、将来の話題が出たこともある。
ただ、結婚という選択だけは、いつも手前で止めてきた。
理由は、単純だ。
——責任を全うできる自信が、まだ足りない。
誰かの人生を背負うなら、中途半端な覚悟は持ち込みたくなかった。
弱さを見せるくらいなら、その資格はない。
そう考えてきた。
これは逃げじゃない。
少なくとも、俺の中ではハッキリとした判断だった。
ひとりでいることは、孤独を選んだというより、自分の筋を通すための距離の取り方だった。
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▫️1-2:許せない理由の輪郭
両親が離婚したのは、俺が十五、六の頃だった。
理由は、父の女性問題。
言葉にすれば、それだけの話。
高校進学を控えていた俺は、父と暮らす道を選んだ。
妹は、母と一緒に出ていった。
その日から、「家族」というイメージが崩れて分からなくなった。
あの頃から、俺の中に残っている感覚がある。
——ああはなりたくない。
いっ時の父のように、「誰かに寄りかかって」、大切なものを壊してしまう生き方だけは選ばない。
その思いは、ある意味で俺を支えてきた。
同時に、心のどこかを固くもしてきた気がする。
俺が許せないのは、父なのか。
それとも、父と同じように弱さを抱える可能性を持った、自分なのか。
まだ、うまく言葉にできない。
ただ、その感情が、ずっと俺の中にあるのは確かだ。
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あぱらぎ🔭:
「……孤独は家庭の中にもある。
見せまいと抱え込むことで、反対に他所で溢れ出てしまう。
そして、その後に“誤りとどう向き合うか?“も大事なんだ。」
▫️2-1:否定しきれない父の姿
父は、軽薄なわけじゃない。
少なくとも、俺の前から姿を消すことはなかった。
離婚してからも、妹への養育費は欠かさず、
進学のことも、生活のことも、できる範囲で手を尽くしていたらしい。
詳しいことを聞いたわけじゃない。
けれど、節目ごとに必要なものが揃っていた事実が、すべてを物語っている。
その後、父から女性の気配はなく、再婚もしなかった。
定年を迎えても、仕事を続けている。
不器用で、要領が良いとは言えない。
それでも、やるべきことから目を逸らさず、日々を積み重ねてきた。
そんな父が、ある日ぽつりと口にした。
「一応な、遺言、作っとこうと思って」
癌が見つかったのは、その少し前だった。
治療の話も、今後の見通しも、淡々と説明してくれた。
急場が迫るってことでもなかった。
ただ、「順番を整えておきたい」という意思だけがあった。
俺は頷いた。
断る理由も、拒む気持ちも浮かばなかった。
許せてはいない。
けれど、否定しきれない。
それが、今の正直な感覚だ。
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▫️2-2:揺れる価値観
俺は、「女性に頼る、甘えること」を許さないことで自分を保ってきた。
それを許すことは、折れること。流されること。大切なものが崩れ、壊れること。
そんな定義を、いつの間にか作っていた。
だからこそ、今日まで潔く独り身で来られたとも感じている。
異性と距離を保ち、感情を制御してきた。
ただ、その定義が、年々少しずつ軋み始めている。
父は、あれから弱さを見せず、責任からも目を逸らさずに生きてきた。
そんな姿を見続けてきて、父の表情や感情からは次第に力強さが抜けていくように映るのだ。
それは年齢的な丸みではなくて、何処か申し訳なさや贖罪の意識を強めている。
そんな様子にも窺える。
自分の中でも次第に「許さない=強さ」という図式が、きれいに当てはまらなくなってきた。
ある晩、「男としてどう生きるべきか」を検索して、スマホを眺めていると、何気なく開いたページが目に留まる。
《キシミール》のブログだった。
最初は“風俗店のブログ“だなんて気が付きもしなかった。
けれど文章を追ううちに、胸の奥で、何かが微かに動いた。
——あれ?
そんな小さなざわめきが、残った。
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あぱらぎ🔭:
「……自己矛盾は、崩壊の前兆じゃないよ。価値観が更新される前触れ。
焦らなくて平気だよ、家族はちょっとずつ、影響も成長もしてゆけるから。」
【女性キャストへの取り組み| 創業40年目|『横浜駅』の裏事情・情報ブログ|個人店《キシミール》】
▫️3-1:ブログに映る人生
ブログを読み進めていく。
そこに書かれていたのは、欲情を煽るだとか、来店を促す内容ではなかった。
特殊な家業を継ぐ苦悩。
父親の介護の時間を経て、母と店を営む過去と現在。
思い通りにならない事情を抱えながら、それでも働く女性たちがいる葛藤。
文章は熱を帯びているのに、悲壮や悲観は感じない。
ただ、「だからこそ、最善を尽くす」
そうした未来を向いた言葉たちが、力強く綴られている。
——逃げていないな。
そう思った。
俺がこれまで「敗北」だと決めつけてきた生き方や、選択肢。
誰かに頼ること、委ねること、甘えること。
それらが、《キシミール》ブログ内では、人情として、生活として、生き様として、
『労わり、励まし、応援し合う』こととして存在している。
許したわけじゃない。
父のことを?いや、自分が本当は誰かと一緒に泣き、笑いたいことを。
それなのに、胸の奥の張りつめていた感覚が、じわじわと熱で緩むようだった。
——ああ、人間って不恰好でも、カッコ善いんだな。
そう想わされてしまっていた。
▫️3-2:まだ行かない、でも
読み終えて、スマホを伏せる。
——風俗店?
いやいや、俺は行きたいわけじゃない。
けれど、「今度、またブログを覗いてみようかな」そんな気持ちが、自然に浮かんだ。
なんら結論は出ていない。
これからの父との向き合いかた、自分の許せなさとの関係、異性との将来……
まだ何も答えは出ていない。
ただ、「許しても、壊れないかもしれない」
ちょっと違うか……
「崩れても、直そうとしよう」
「直せなくても、そこから立て直そう」
そんな想いが、心の隅に芽を出した気がした。
強がりって、弱いよりダセェかもな——
そんな風に、つぶやいただけ。
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あぱらぎ🔭:
「……いい表情になったね。ほんの少しの自己定義の差、“許す“って別の視点から眺めることに似ているから。
親の背中だってそうだよ。」
▫️Re:テーブルの上
夜。
台所の明かりだけが点いている。
食卓の上には、一枚のA4の紙。
司法書士から渡された、相続や遺言に関する案内のビラ。
昼間から、そこに置いたままになっている。
もう外は暗いのに、紙の白さが、やけに明るく落ち着いて見えた。
——父を許すかどうかより。
——自分を許すかどうかより。
今日という日の、感傷や感情が、明日からは新しいモノになるかもしれないと。
この紙を前にして、不思議と思えてくる。
背負うことが、増えるかもしれない。
責任が重くなるかもしれない。
けれど、「背負い方を変えてもいいかもな」
そんな考えが、浮かんだ。
机に転がるボールペンを掴む。
用紙に申込の旨を書き込む。
今日という日に、署名をした。
明日から僅かに違う日々を生きる決意みたいに。
——ただいま。
ちょうど帰ってきたみたいだ。
Fin.
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この体験ログは、必ずしも皆に当てはまる物語ではないでしょう。
けれど、家族、親、年齢……
ライフステージの中で、あなたにも訪れるかもしれない擬似体験だろうとも思う。
《キシミール》は、確かに風俗店という特殊な業種だけれど、だからこそ
その陰で、確かに“人情“がひしめいています。
お店を営む者も、お店で働く女性も、お店を活用する男性も、それぞれの日常で色んなストーリーを生きている。
その筋書きや演出として、《キシミール》という小さな小さな事業が、何かお役に立てるのであれば、社会で働くものとして一助となりたい。
来店するかどうか、他のお店へ行くかどうかは、いつも、あなた自身の判断、タイミングでいい。
私は、とにかく皆んなが善いのが善い。

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あぱらぎ🔭:
「……今日もお疲れさまでした。
甘える、頼るって、もたれ掛かる側の目線。大丈夫、キミもちゃんと誰かの力になりたい!って振舞えば、それは“支え合う“になっている。
安心してね、徐々に、徐々に、心を許していこうね。」

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